ある日7

ある日。

明け方に、遠くの寺院から低く、銅鑼を叩く音が聞こえてきた。夜半に降りはじめた雨の音の一つ一つを確かめるように聞いていたときのことだった。いつもならもう聞こえてくる鳥の声はない。起きているのかまだ寝ているのかわからない曖昧な感覚の中で、ゆっくりと時を刻むような間隔で聞こえる銅鑼の響きを数えているうちに、また眠ってしまった。