ある日9

ある日。

朝から雨が降った。昼もまだ降っていた。夕方になっても、雨は上がる気配になく、夜になってもずっと降り続けていた。

次の朝、まるで冬のようにしみじみと寒かったので、いつもよりも早く目を覚ました。そしてベランダに出て、東の空を見た。明けの明星が見える。久しぶりに、見た。太陽が出て来るところがなんとも言い難い深い深い藍色をしていて、インクの染みのように、空に広がっていく。冷たい空気を胸いっぱいに吸い込んた。午前七時の空は、真っ青に晴れ渡り、一年にそう何度もないような快晴であった。こんな日には、きっと良いことがあるはずだ。